Step Son (ステップサン)って何?
Step Son(ステップ・サン) = 義理の息子
私には今現在16歳になる義理の息子のアイスがいます。
つまり、私の夫と元奥さんの間の子供です。
ステップ=義理
なので、例えばアイスからすると私はステップマザー or ステップマム(Step Mother あるいはStep Mom)義理の母 ということになります。
このように血縁関係の無い親子関係や兄弟姉妹関係を含んだ家族の形をステップ・ファミリー(Step Family)といいます。
カナダの離婚率の高さ
以前の記事で話したように、カナダでは結婚と離婚を繰り返すカップルが多いです。
(日本でも最近は離婚率が昔より増えているので、ステップ・ファミリーが将来的に増えてくるかもしれませんね。)
カナダ人の離婚率の高さは私も聞いていたものの、いざグーグルで検索をかけてみてみたところ、結婚50周年を迎えるまでに40%くらいのカップルが離婚するそうです。
カナダ政府のDivorce rates, by year of marriage(結婚年度ごとの離婚率)というのを見ても、例えば2000年に結婚した人の26%近くが既に離婚しているようです。(1000カップルの結婚に対しての比率)
結婚の平均期間は14年とでてきました。
カップルによって理由は多岐にわたるでしょうが、離婚の理由としてお互いの考え方の不一致、恋愛の”好き”という気持ちが無くなってしまうというのを周りで聞くのが多い気がします。
日本人と比べるとお互いの間に子供がいたとしても、比較的自分の感情面を優先順位に置いてに結婚、離婚をしているイメージがあります。
ステップ・サンと暮らし始めた頃
私がアイスに出会った頃、彼は10歳。
とても無邪気で可愛く、背の高さも私の顎の下くらいで、私が片手で持ち上げられるくらい小さかったです。
初めのうちは、私の英語力の低さと、人の子供とどう接していいか分からないという気持ち、
4人姉妹として育った私にとって、男の子にどう接していいのか分からなかったというのがあって、
アイスとの会話はあまり多くなかったです。
その上、学校の事や彼が習っているホッケーの事も全く分からなかったので、会話のネタがほとんどなく、途方に暮れていました。
更にアイスに嫌われたらどうしようとビクビクしていたせいで変に緊張もしていたように思います。
いい歳してそんな状態の私でしたが、次第にアイスからバックヤード(家の裏庭)で遊ぼうと声をかけてくるようになりました。
本人はまだ10歳で学校の後も体力を持ち余していて、特に天気のいい夏は外に出て遊びたがりました。
彼としては遊び相手は知っている人なら誰でも良かったと思いますが、
私としては彼から遊ぼうとお願いされるたびに、
あ…、私は少なくとも嫌われていない…
と思い、舞い上がるほど嬉しかったです。
(アイスが一緒に遊ぶ気になってくれるのが嬉しい反面、10歳のスーパーアクティブな遊びについていけず、体力的にはしんどかったです。)
ステップ・サンとの家族としての距離感
ステップサンがいる…ということは私はステップマム。
マム = Mom = 母
ステップが付くとは言え、母というポジション…???
当初私が悩んだのは、どこまで、どうやって“母親”であるべきか、ということでした。
私にとって母親とは子供に最も近い存在でないといけないと思っていました。
さらに、
家でのルールや外に出た時のマナーをしっかりと守らせて、栄養あるものを食べさせて、テレビやゲームの時間の取りすぎに気を付けて、学校生活の様子や友達関係を上手いこと聞き出して色々とアイスを取り巻く人を把握して…
などと事細かに考えていました。
けれども、そういった自分の思い描く母親像がカナディアンにとって違っていたらどうしよう、育った国や文化、家庭環境の違いのことを考えるとどうしていいか分からない、
自分がもし日本に住んでて自分の子供がいたらたらこうしてたであろう、といった事をそのままアイスに押し付けていいものかと悩みました。
ステップマムであることに加え、国の文化&育った家庭環境の違い、
自分の育った環境と違っていることが多すぎて何が正しいのか、間違っているのか、線引きが難しいです。
そもそも子育てに正解は無いのですが、基準が全くもってわかりません。
アイスからしたら、いきなり自分の人生に入ってきた人が母親のように振舞ってきたらどう感じるだろう…。
そしてさらにもう一つ、アイスと私は17歳差でなんだか”母親”という年でもありません。
あぁ…私はアイスにとって何なのだろう…?
ステップ・マムなのに、ちゃんとした母親になり切れない自分にずっともやもやしていました。
もやもやしながら生活を続けている中、
ある時、ふと思いました。
“母親”じゃなくて、“ステップマム”でいいじゃん。
私の中で、“他人”か“母親”のカテゴリーしかなく、どちらのカテゴリーにも属しない私は何だろう?、と思っていたのですが、
“ステップマム”というとてもフレキシブルなカテゴリーを自分の中に作ることができたとき、何かストンとはまるものを感じました。
ステップ・ファミリーなんだから、私の育ってきた血のつながった両親がいるという環境とは違うのだから、その枠に収めて物事を考えようとするからうまくいかないんだ、
自分で自由に“ステップ・マム”としてまずは家族として楽しくみんなで幸せに生活できればいいじゃん、という考えに至りました。
母親としてすべきだと思うことを細かく考えていて、その先にある“みんなが家族として居心地よく過ごせていて幸せである”というゴールを見落としていました。
うちの場合は、アイスは基本的に私たちの家で一緒に過ごしていますが、元奥さんもよく私の家にくるし、アイスの面倒をよくみています。
アイスにとってはやっぱり彼女が母親です。
もしアイスが3歳以下など小さい頃から一緒だったらまた状況は違ったでしょうが、10歳となるとしっかりと彼自身の自我があって、私のことは”母親”とは思いません。
私も10歳の子供にいきなり自分を母親と呼ばせるのは気が憚れます。
(ちなみにアイスは私のことはそのまま名前で呼びます。)
ステップ・マムというわたしのポジションは、アイスが家族を頼りたいとき、父親も母親も頼れない状況があったときの第三の選択肢でありたいな、と思っています。
別に父親に勝とうとか、母親に勝とうとかそういうものではなく、
アイスからの目線で三択のチョイスがあって、アイスが状況に応じて一番適当な相手に頼れればいいんです。
ある意味、自分が思い描いていた母親をしなくていいと思うとだいぶ気が楽になりました。
ステップ・マムの役割というのは子供の年齢や性格など家庭によって変わってくると思うので、自分でどうやってステップ・ファミリーとしてお互いが心地よく過ごせるかをよく見極めていかないといけないのかな、と思います。
例えば、アイスが何かとても大事な話をしないといけないときは、一歩引いて、アイスを私の夫と元奥さんに任せて、彼らが遠慮なく話し合える環境も作ったりします。(学校の成績表が来たときは特に…)
最初は自分が蚊帳の外で寂しいな、と思う気持ちもありましたが、私がアイスの立場だったら、やっぱり自分の父親、母親のみと話したほうが(状況や話す内容によりますが) 心置きなく話せるときもある気がします。
まとめ
私にとってステップ・サンを持つということは、初めは困惑する事が多かったです。
なぜなら、自分と夫で家庭を築くというよりは、夫と夫の息子の出来上がっている家庭に入っていく感じが強かったからです。
そして、時間をかけて徐々に自分の考え方や文化を小出しに相手に伝えながら家族の理解を得て、
自分も相手も無理の無い、居心地のいい空間にゆーっくり変えていく感じです。
一緒に暮らし始めた瞬間から、私があれは嫌、これはこうじゃなきゃダメ、などと沢山言っていたら、今の関係は成り立って無かったかもしれません。
夫も息子がいて、息子を第一優先にして忙しい生活していて、そこへガールフレンドが来て“私を第一優先にして!”
と言われたら困ってしまっていたでしょう。
付き合い初めは私にとって慣れない事ばかりであまり自己主張を強くできませんでしたが、
今振り返って見ると、そのゆっくりとした出だしが良かったのかな、という気もしています。
それがストレスが溜まらなかったかというとそんな事はありません。
もっと自分から言葉を選んで溜まった気持ちを夫に吐き出しても良かったかな、とも思います。
また、夫が私の様子をみつつ、
今Happyか?
自分やアイスが何か私のストレスになる様な事してないか?
ここは君の家でもあるんだから、いつでも何か納得いかない事があったら言ってね。
などと聞いたりしてくれたので、向こうから言い出してくれると自分の思っている事を言いやすい、という状況も多々ありました。
一緒に暮らして6年近くが経ち、年々家族としての絆だったり心地よさが強くなって来てる気がします。
ここでいう心地よさとは、同じ空間に無理なく一緒に居られる、という意味です。
出会ったばかりの頃は、同じ空間にいると妙な気まずさのようなものがありましたが、今ではそういった雰囲気もなくなりました。
私のステップ・ファミリーの場合、一年や二年では今のような関係になれなかった、というのが今になって分かりました。
私がステップ・マムの道を歩き始めた時、不安でどうこの状況に対処するべきか他の人の経験談などないかなーとネットで探したときに、ほとんど情報を得られなかったので、今回この記事を書きました。
私の場合はこんな感じでしたが、他にも沢山のシチュエーションがあると思います。
沢山ある中の一例だと思って誰かの参考にでもなれたら幸いです。
アイスが成長するにつれて、ティーンエイジャーとしての良いところ、悪いところなどもあるので、次はそんな事も書いていこうと思っています。